キッチンカーメンテナンス完全講義【車両・厨房・外装】稼ぎ続けるための条件

車両製作編

「今週末の大型イベント、気合を入れて仕込みも完了!」 「さあ、出発だ!」

そう思ってキーを回した時、エンジンがかからなかったら? あるいは、現場に着いて営業を開始した直後に、給水ポンプが動かなくなったら?

想像するだけでゾッとしませんか。 しかし、これは脅しではなく、キッチンカー運営で実際に頻発しているトラブルです。

前回、「キッチンカーは厳しい」「会計(数字)が重要だ」というお話をしました。 その厳しいビジネスにおいて、最も痛い損失とは何でしょうか?

それは、稼働できないこと(機会損失)」です。

実店舗なら、エアコンが壊れても営業はできるかもしれません。 しかし、キッチンカーは「車」です。動かなければ、現場に行けません。現場に行けなければ、売上は100%ゼロです。

今回は、あなたの事業の命綱であるキッチンカーを、長く、安全に、そして確実に稼働させ続けるための「メンテナンス戦略」についてお話しします。

単なる「車検」の話ではありません。 「車両(ベース車)」「厨房(ボックス部分)」「外装(ブランド)」の3つの視点から、プロとして知っておくべき管理術を伝授します。

視点1:【車両メンテナンス】止まったら終わり。「車」としての機能を死守せよ

キッチンカーは、あくまで「車」の上に成り立っています。 ベースとなるトラックやバンが動かなければ、どんなに美味しい料理もお客様に届きません。

キッチンカーは「過酷な環境」で使われている

まず認識すべきは、キッチンカーは普通の車よりも**「はるかに過酷な状態」**で酷使されているということです。

  1. 重量オーバーギリギリの常時積載 厨房機器、食材、水(タンク)、発電機…。常に重い荷物を満載して走っています。サスペンションやタイヤへの負担は、普通の乗用車の比ではありません。
  2. ストップ&ゴーの多さ 近距離の移動や、狭い場所での駐車。エンジンやブレーキへの負担も大きいです。

必ずチェックすべき3つのポイント

プロのメカニックに任せるべき部分もありますが、日々の始業前点検(日常点検)で見逃してはいけないのが以下の3点です。

  1. タイヤの空気圧と亀裂(バーストの恐怖) 重量があるため、タイヤの摩耗や変形が早いです。高速道路での移動中にバースト(破裂)すれば、大事故に繋がります。また、空気圧不足は燃費を悪化させ、利益(経費)を圧迫します。
  2. バッテリー(突然死の恐怖) キッチンカーは電装品が多く、バッテリーへの負荷が高い傾向にあります。「最近エンジンの掛かりが悪いな」と思ったら、即交換です。イベント当日の朝にエンジンが掛からない絶望は、何としても避けなければなりません。
  3. オイル交換(エンジンの寿命) エンジンは心臓部です。重い車体を動かすため、エンジンオイルの劣化も早いです。3,000km〜5,000km、あるいは半年に一度は必ず交換しましょう。「まだ大丈夫」が命取りになります。

視点2:【厨房・ボックスメンテナンス】建築士の視点。「店舗」としての機能を守る

ここからは、少し専門的な「建築・設備」の領域です。 キッチンカーの厨房部分(ボックス)は、いわば「小さな店舗」であり「小さな食品工場」です。

車屋さんでは気づかない、しかし事業継続に直結するトラブルがここに潜んでいます。

1. 「水回り」の悲劇を未然に防ぐ

キッチンカー最大のトラブルメーカー、それが「水」です。

  • 給水ポンプの故障: 水が出なければ、保健所の営業許可上、営業できません。予備のポンプを常に積んでおくのが、プロのリスク管理です。
  • 排水の水漏れ: シンク下の配管が振動で緩み、汚水が床下に漏れ出す…。悪臭や衛生事故の原因になります。走行前後のチェックは必須です。
  • 冬場の凍結: 特に冬場、タンクや配管内の水が凍結して破裂することがあります。営業終了後の水抜きは徹底してください。

2. 「雨漏り」は箱の寿命を縮める

僕たちは建築のプロとして言いますが、「コーキング(継ぎ目の充填剤)」は永遠ではありません。 走行中の振動や紫外線で、ボックスの継ぎ目のコーキングは必ず劣化し、ひび割れます。

そこから雨水が侵入するとどうなるか? 壁内部の断熱材がカビたり、鉄骨が錆びたり、最悪の場合、電気系統がショートして火災の原因になります。

「天井にシミができた」「雨の日にカビ臭い」 そう感じたら、すぐに専門業者(キッチンカー製作会社や板金塗装業者)に相談してください。早めの再コーキングが、車両寿命を数年延ばします。

3. 「換気扇」は油汚れとの戦い

揚げ物や焼き物をするキッチンカーにとって、換気扇は命です。 油汚れ(グリス)が溜まった換気扇は、以下のリスクを招きます。

  • 吸い込みが悪くなり、車内温度が上昇(熱中症リスク)
  • 油が垂れてきて、商品に混入(異物混入)
  • 引火した場合、一気に燃え広がる(火災リスク)

「汚れたら掃除する」ではなく、「毎日掃除する」ルーティンを組み込んでください。 プロの厨房において、換気扇の汚れは恥です。

視点3:【外装・ブランドメンテナンス】「見た目」は味の一部である

SONY DSC

最後に、「ブランディング」に関わるメンテナンスです。 前回、「ブランディング=認知の量」とお伝えしましたが、それと同時に「信頼の質」も重要です。

「汚い車」で作られた料理を食べたいですか?

お客様は、あなたの料理を見る前に、あなたの車を見ます。 泥だらけのタイヤ、薄汚れたボディ、剥がれかけたステッカー、蜘蛛の巣が張った看板…。

そんな車から出てくる料理を、「美味しそう」「衛生的だ」と思えるでしょうか? 答えはNOです。

「外装の汚れ = 衛生意識の低さ」

お客様は無意識にそう判断します。 どれだけ保健所の許可を取っていても、見た目が汚ければ、お客様の中での「心の営業許可」は下りません。

  • 洗車は「開店準備」の一部です。
  • 塗装のハゲやサビは、早めにタッチアップ(補修)しましょう。
  • タペストリーやのぼりが色あせていませんか?(ボロボロののぼりは、廃れた店に見えます)

ピカピカに磨き上げられたキッチンカーは、それだけで「この店主は、細部まで気を配れる人だ=料理も丁寧に違いない」という無言のプレゼンテーションになります。

メンテナンスは「コスト」ではなく「投資」である

「修理代がもったいない」 「まだ動くからいいや」

そうやってメンテナンスを後回しにするのは、典型的な「貧乏マインド」です。 前回のアカウンティング(会計)の話を思い出してください。

もし、メンテナンスを怠ってイベント当日に車が故障したら?

  • 売上喪失: 予定していた10万円の売上が消えます。
  • 食材ロス: 仕込んだ食材がすべて廃棄になります。
  • 信用の失墜: 主催者や楽しみにしていたお客様を裏切ることになります。(二度と呼ばれないかもしれません)
  • 高額な修理費: 壊れてから直す修理代は、予防メンテナンス費用の何倍もかかります。

メンテナンス費用は、これらの巨大なリスクを回避するための「保険」であり、将来の売上を守るための「投資」です。

メンテナンス・スケジュールのすすめ

個人の記憶に頼るのはやめましょう。事業として管理するのです。

  • 毎日: タイヤ空気圧、水回りの水漏れ、外装の汚れチェック
  • 毎月: エンジンオイル量、バッテリー電圧、換気扇の分解清掃
  • 半年ごと: オイル交換、プロによる車両点検

これらをスケジュール帳やGoogleカレンダーにあらかじめ書き込んでおいてください。 「忙しいから」を理由にメンテナンスを飛ばす時が、トラブルの始まりです。

結論:愛車を労ることは、ビジネスを愛すること

キッチンカーは、あなたのビジネスパートナーです。 文句も言わず、重い荷物を運び、暑い日も寒い日もあなたを守ってくれる存在です。

そのパートナーを大切に扱えない人が、お客様を大切にできるはずがありません。

「今日も一日ありがとう」 そんな気持ちで営業終わりに車を拭き上げる。 その小さな積み重ねが、車の異変にいち早く気づくきっかけになり、結果としてあなたを「廃業の危機」から救ってくれます。

長く、太く、愛されるお店であり続けるために。 今日から、プロとしての「メンテナンス」を徹底していきましょう。

あなたのキッチンカー、本当に「万全」ですか?

最後まで読んでくださり、ありがとうございます。

「車のことは詳しくないから不安だ」 「実は、雨漏りや設備の不調を騙し騙し使っている…」 「長く使うために、どこをチェックすればいいかプロに見てほしい」

もし少しでも不安を感じたなら、手遅れになる前に僕たちにご相談ください。 車両の修理もお任せください。また、建築士としての「箱」の知識と、飲食事業としての「現場」の知識で、あなたの愛車を診断します。

「今すぐメンテナンスについて相談したい」👇

1. メンテナンスの勘所も学べるセミナー

🍽️ 【無料オンラインセミナー】

キッチンカー事業設計&リスク管理講座

  • 稼ぐ人は知っている「故障リスク」の潰し方
  • 衛生事故を起こさないための「水回り・換気」の鉄則
  • 6ヶ月生き残るためのメンテナンス予算の考え方

[セミナーの詳細を見てみる(無料)]

2. 具体的なキッチンカーのトラブル・改修の相談

📱【初回無料】個別の戦略・設備相談(オンライン30分)

  • 「中古で買った車の設備に不安がある」
  • 「雨漏りや結露に悩んでいる」
  • 「内装のレイアウトを変更してオペレーションを良くしたい」

車両の修理そのものは提携工場になりますが、建築的視点での「改修・改善」のアドバイスは私たちの専門分野です。

[無料相談に申し込む(限定3枠/月)]

コメント