「メニューが多すぎる」キッチンカーが儲からないジャムの法則

すべて

「お客さんに、たくさんの選択肢をあげたい」 「クレープも、唐揚げも、タピオカも…メニューが豊富なほうが、お客さんは喜んでくれるはずだ」

この「親切心」からくる「メニューの増やしすぎ」は、前の記事(第15回)で解説した通り、「負のスパイラル(ロス増加・効率悪化)」を生み、あなたの経営を内部から破壊します。

しかし、問題はそれだけではありません。 キッチンカー経営において、「メニューが多すぎる」ことは、 お客さん側にとっても、「ストレス」であり、「不親切」なのです。

「選択肢が多い=お客さんが迷う=結局、買わない」 。 この恐ろしい心理現象は「ジャムの法則」として知られており、あなたのキッチンカーの「機会損失」の最大の原因になっているかもしれません。

この記事では、なぜ「豊富なメニュー」が「売上ゼロ」につながるのか、その心理メカニズムと、儲かるお店が実践する「メニュー戦略」を徹底解説します。

1. 「ジャムの法則(決定回避の法則)」とは何か?

「ジャムの法則」とは、コロンビア大学のシーナ・アイエンガー教授が行った、有名な心理実験から来ています。

【スーパーでの「ジャム」実験】

  • パターンA:スーパーの試食コーナーに「24種類」のジャムを並べた。
    • たくさんのお客さんが試食に立ち寄った(注目度は高い)。
    • しかし、そのうちジャムを「購入」したお客さんは、たったの**3%**だった。
  • パターンB:試食コーナーに「6種類」のジャムだけを並べた。
    • 立ち寄ったお客さんは、Aパターンより少なかった(注目度は低い)。
    • しかし、そのうちジャムを「購入」したお客さんは、なんと30%にもなった。

【実験が「証明」したもの】 「24種類」のほうが、お客さんはたくさん集まりました。 しかし、「売上」は、「6種類」のほうが圧倒的に高かったのです。

なぜか? それは、人間は「選択肢が多すぎる」と、脳が「選ぶ」という作業を面倒に感じ、ストレスを感じ、結果として「選ぶのをやめてしまう(=買わない)」という行動を取るからです 。 これを、「決定回避の法則」とも呼びます 。

選択肢が多いことは、「自由」ではなく「苦痛」なのです。

2. キッチンカー経営で起こる「決定回避」のワナ

この「ジャムの法則」は、あなたのキッチンカーの前で、毎日、毎時間、起きています。 特に、お昼休みなどで「時間がない」お客さんにとっては、この「選ぶストレス」は、通常の何倍もの威力で襲いかかります。

【「何でも屋」キッチンカーの前の、お客さんの「心の声」】 「お、キッチンカーだ。何があるかな?」 (メニュー看板(かんばん)を見る) 「(A)唐揚げ、(B)クレープ、(C)タコス、(D)ラーメン、(E)ホットドッグ、(F)デザート…」 「うわ、種類が多すぎる…」 「えーっと、どれが『当たり(一番おいしい)』なんだ?」 「唐揚げがおいしい店なのか? それともクレープが本命(ほんめい)なのか?」 「わからない…選ぶのが、面倒くさい…」 「あ、もうお昼休み、あと15分しかないや」 「もういいや。あっちの『唐揚げ専門店』なら、迷わなくて済むから、あっちに行こう

…これが、「機会損失」が生まれた瞬間です。 あなたは、お客さんを「喜ばせる」ためによかれと思って増やしたメニューのせいで、お客さんに「考えるストレス」を与え、そのお客さんを「ライバル店」にプレゼントしてしまったのです。

「メニューが多すぎる」ことは、お客さんにとって「不親切」なのです。

3. 「メニューを絞る」ことは「最高の親切」である

では、どうすればよかったのでしょうか? 答えは、ジャムの実験が教えてくれた通り、「選択肢を、究極まで減らす」ことです。

「儲かる」キッチンカーが、「専門店」という戦略を取るのには、経営の効率化以外に、この「顧客心理」の面でも、最強のメリットがあるからです。

メリット1:お客さんの「脳のストレス」をゼロにする

もし、あなたのキッチンカーが「唐揚げ専門店」だったら? お客さんは、あなたの店の前で「迷う」ことが、一切ありません。

お客さんの脳が考えることは、たった一つ。 「唐揚げを、食べるか・食べないか」 この「Yes / No」の二択だけです。

これは、ジャムの実験で「24種類」を前にして「どれにしよう…」と悩むストレスとは、比べ物にならないほど「かんたん」です。 「迷わせない」こと。これこそが、時間のないお客さんに対する「最高の親切」であり、購入率を劇的に上げる「最強の販売戦略」なのです。

メリット2:「専門店」という「ブランド」が、背中を押す

「ジャムの法則」には、もう一つの側面があります。 「選択肢が少ない」ということは、お客さんに「お店からの『提案』」を強く感じさせることができます。

「6種類」しかジャムが並んでいないと、お客さんはこう感じます。 「きっと、この6種類は、お店が『本当に自信がある、おすすめのジャム』なんだろうな」

これは、キッチンカーでも同じです。 「メニューが『唐揚げ』しかない」ということは、 「この店は、唐揚げに『命』をかけているんだな。きっと、とんでもなくおいしいに違いない」 という、「専門性=品質の高さ」という「期待」を、お客さんに自動的に抱かせます。

この「期待」が、お客さんの「買いたい」という気持ちを、最後に強く後押しするのです。 「何でも屋」には、この「期待」は生まれません。

まとめ:「増やして」失敗するか、「減らして」儲かるか

「お客さんのために」という、あなたの「親切心」が、

  • 経営面:ロスと非効率を生み、あなたの「利益」を殺す。(第15回の復習)
  • 心理面:「ジャムの法則」を引き起こし、お客さんに「ストレス」を与え、あなたの「売上」を殺す。(今回の結論)

という、最悪の結果を招いてしまいます。

「メニューを増やす」のは、一見すると「攻め」の戦略に見えますが、じつは「経営」も「心理」も、すべてを失う「最悪の守り」です。

本当の「攻め」の戦略とは、「メニューを減らす」こと。 「専門店」になる勇気を持ち、お客さんを「迷わせない」という「最高の親切」を提供すること。 それこそが、お客さんにも選ばれ、あなたにも利益が残る、唯一の「Win-Win」の道なのです。

その「豊富なメニュー」、お客さんを「迷わせるストレス」になっていませんか?

「『ジャムの法則』…まさにウチの店のことだ」 「良かれと思って増やしたメニューが、お客さんを逃していたなんて…」 「でも、売上が不安で、メニューを『減らす勇気』が出ない…」

その「不安」な気持ちは、よく分かります。 しかし、その「不安」から増やしたメニューこそが、お客さんを「迷わせ」、あなたの「不安(売上不振)」を、さらに大きくしている元凶です。

「何を捨てて、何を残すべきか?」 「あなたの店が『専門店』として勝負できる、最強の『1品』は何か?」

その「メニューの断捨離」を、私たちプロと一緒に、戦略的に行いませんか?

【:無料ガイドブック】「専門店」の成功事例を学ぶ

「『メニューを絞って』成功した、具体的な事例が知りたい」 「『ジャムの法則』から抜け出す、メニュー構成のヒントは?」 「お客さんを迷わせない」戦略を、セミナー資料から抜粋してまとめた**【儲かるキッチンカー開業 限定ガイドブック】**を今だけ無料でプレゼント中です。

[ ▼ 無料ガイドブックを今すぐダウンロードする ]

【行動2:セミナー(個別相談)】あなたの「メニュー戦略」をプロが診断します

「私のこの『メニュー構成』、ジャムの法則に陥っていませんか?」 「『専門店』になる勇気がない。どうすれば『利益』と『品揃え』を両立できますか?」

そんな「メニュー戦略」の根幹に関わるご相談は、キッチンカー開業セミナー(個別相談付き)】でお聞かせください。 数々の店舗の「利益改善」と「ブランド構築」を手がけてきたプロが、あなたの「不安」を「強み」に変える「メニュー戦略」を一緒に考えます。

[ ▼ セミナー(個別相談付き)の詳細を見てみる ]

コメント