「フードトラックを開業したぞ！」 「よし、一番人気の『唐揚げ』で勝負だ！」
そう思って出店場所に行ってみたら… （右を見ても、唐揚げ屋さん） （左を見ても、唐揚げ屋さん） （向かいにも、唐揚げ屋さん） あなたのフードトラックは、たくさんのライバル店の一つとして、うもれてしまいました…。
「フードトラックって、なんだか最近すごく増えたなあ」 「こんなにライバルが多かったら、どうやって選んでもらえるんだろう？」
そう、フードトラック事業は、だれでも始めやすいぶん、ライバル（競合）がとても多い世界です。 でも、安心してください。 ライバルがたくさんいても、かんたんに勝てる「かしこい戦い方」があります。
それが、「ニッチ市場」で戦うという戦略です。 この記事では、小さなフードトラックが大きなライバルに勝つための「ニッチ市場」の見つけ方を解説します。
「大きな池」で戦うと、どうなるか？
まず、ライバルがたくさんいる場所で戦うと、どうなってしまうのでしょうか？ これは、「大きな池で、たくさんの釣り人と、魚をとりあう」ようなものです。
- ライバル：100人（みんな「唐揚げ」を釣ろうとしている）
- お客さん（魚）：1000匹
1000匹も魚がいるんだから、たくさん釣れそう！と思いますか？ でも、ライバルが100人もいたら、お客さんは「どこのお店（釣り人）から買おうかな？」と迷ってしまいます。
すると、ライバルのお店はこう考えます。 「よーし、お客さんをよぶために、10円安くしよう！」 「なに、あっちが10円安くしたなら、ウチは20円安くするぞ！」
こうして、お客さんを取りあうために、みんなで「値下げ合戦」が始まってしまいます。 値下げ合戦になると、あなたの「こだわり」や「価値」（前の記事でやりましたね）は関係なくなり、「1円でも安いお店」しか売れなくなります。
これでは、がんばってもがんばっても、ぜんぜん「儲け（利益）」が出ません。 ライバルが多い「大きな市場」とは、こういう「血みどろの戦いがおこる場所（レッドオーシャン）」なのです。
「小さな池」で、たった一人の釣り人になる
では、「ニッチ市場」とは何でしょうか？ それは、「小さな池で、たった一人で、のんびり魚を釣る」ことです 。
- ライバル：あなた一人だけ！
- お客さん（魚）：100匹
「え、お客さん100匹だけ？ さっきの1000匹より少ないじゃん！」 と、あなたは思うかもしれません。
でも、考えてみてください。 ライバルは、あなた一人だけ。 その池にいる100匹のお客さん（魚）は、ぜんぶ、あなたのお店から買ってくれるのです。 100人のお客さんを、あなたは「ひとりじめ」できます。
これが、「ニッチ市場」の考え方です。 「ニッチ（Niche）」とは、「すきま」という意味です。 あえて、大きな市場（みんながやること）をさけて、「こんなの、だれもやってないよね？」という「小さなすきま（ニッチ）」を見つけるのです。
ライバルが少ない小さな市場で、あなたのお店が「立ち位置（たちいち）」をきずくこと。 これが、小さなキッチンカーが勝つための、たった一つの戦略なのです 。
あなたの「ニッチ」の見つけ方
「ニッチが大事なのはわかった。でも、どうやって見つけるの？」 ニッチを見つけるヒントは、これまであなたが学んできた記事の中にあります。
「あなたのこだわり」×「お客さんのニーズ」
この2つを「かけ算」して、できるだけ「せまく、とがらせる」のです。
例1：「唐揚げ屋さん」を「ニッチ」にする
- 大きな市場：
- 「唐揚げ」（ライバルが100人）
- ニッチ市場（小さな池）：
- 「世界一からい、激辛専門の唐揚げ屋さん」
- 「ぜったいにニンニクを使わない、やさしい味専門の唐揚げ屋さん」
- 「ムネ肉だけを使った、ヘルシー専門の唐揚げ屋さん」
どうでしょう？ 「激辛専門」にすれば、「ふつうの唐揚げでいいや」というお客さんは来なくなります。 そのかわり、「激辛が大好き！」という100人のお客さんが、日本中からあなたのお店をめがけてやって来てくれるかもしれません。
例2：「クレープ屋さん」を「ニッチ」にする
- 大きな市場：
- 「クレープ」（ライバルがたくさん）
- ニッチ市場（小さな池）：
- 「たまごや牛乳を使わない、ヴィーガン専門のクレープ屋さん」
- 「お酒が入った、大人（おとな）の夜専用クレープ屋さん」
- 「地元の『〇〇農園のイチゴ』だけを使ったクレープ屋さん」
「ヴィーガン専門」にすれば、ライバルはほぼ「ゼロ」になります。 そのかわり、「たまごや牛乳のアレルギーがある人」や「ヴィーガンの人」が、あなたのお店を「これだ！」と思って、かならず買いに来てくれます。
小さな池の「No.1」になろう！
「ニッチ」とは、あえてお客さんを「しぼる」ことです。 1000人みんなに「ふつうに好き」と言われるお店を目指すのではありません。 1000人のうち、たった100人から「あなたがいないと困る！」と、熱狂的（ねっきょうてき）に愛されるお店を目指すのです。
「大きな池」で、100人のライバルの中の一人（その他おおぜい）としてうもれて、値下げ合戦で苦しむか。 「小さな池」で、たった一人のNo.1になって、あなたを大好きなお客さん100人をひとりじめするか。
答えは、かんたんですよね。 みんなが戦っている場所から、いますぐ逃げだしましょう。 あなただけが見つけられる、あなただけの「小さな池（ニッチ市場）」で、堂々とNo.1の旗（はた）を立てるのです。
その「市場」、ライバルだらけで消耗していませんか？
「『唐揚げ』や『クレープ』は、やっぱりライバルが多そうで不安…」 「私だけの『ニッチ市場（すきま）』って、どうやって見つければいいの？」
そう、自分の「こだわり」と、お客さんの「ニーズ」が重なる「ニッチ」を見つけるのは、宝探しのように難しい作業です。 でも、その「宝の場所」さえ見つけてしまえば、あなたのキッチンカーはライバルと戦うことなく、愛されるNo.1になれます。
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