これまでの記事で、「何屋さんか一言で言える(専門店)」ことと、「いつもの場所(定着出店)」が大切だとお話ししました。
「よし、わかった!『こだわり唐揚げ専門店』として、『毎週月曜に〇〇駅前』で出店しよう!」 と決めたあなた、あともう一つだけ、絶対にチェックしないといけないことがあります。
それは、「その場所、あなたの『唐揚げ』を食べたいお客さん、いますか?」ということです。
もし、その〇〇駅前が、健康志向の女性ばかりで、「揚げ物はちょっと…」という人ばかりだったら? あなたの唐揚げは、だれにも買ってもらえないかもしれません。
キッチンカーの成功は、 「何を」(商品) 「どこで」(場所) 「誰に」(お客さん) この3つが、パズルのピースのようにカチッとはまるかにかかっています。 この記事では、あなたの商品(こだわり)を「欲しい!」と思ってくれるお客さん(ターゲット)を見つけるための、「リサーチ術」をかんたんに解説します。
なぜ、ある場所では「大失敗」するのか?
想像してみてください。 あなたが、ものすごくカワイイ、写真映えする「若者向けスイーツ」のキッチンカーを始めたとします。 ある場所が、出店料も安く、ライバルもいないので、そこに「出店」することにしました。
しかし、1ヶ月たっても、まったく売れません。 なぜでしょう?
答え:その場所は、人口の大半が、おじいちゃん・おばあちゃんだったからです 。
あなたの商品がどれだけ素晴らしくても、その場所に「欲しい」と思うお客さんがいなければ、それは「だれも欲しくない」のと同じです。 おじいちゃん・おばあちゃんは、写真映えスイーツよりも、あったかい「お茶」や「おだんご」を求めているかもしれません。
「ニーズ(欲しいという気持ち)に応えられない」 これが、出店場所えらびで、一番こわい失敗です。
キッチンカー開業前に「数字」で見るべき4つのリサーチ
「じゃあ、どうやってお客さんを調べればいいの?」 かんたんです。その場所の「数字」を調べればいいのです。 これは、ご提供いただいた資料でも「絶対に必要」と書かれている、プロのリサーチ方法です 。
1. 人口の規模(そもそも、お客さんはいるか?)
まず、その場所(町や市)に、人がどれくらい住んでいるかを見ます。 たとえば、
- 人口が5,000人の場所
- 人口が37万人の場所
この2つでは、あなたのお店を見つけてくれる人の「数」が、ぜんぜんちがいますよね。 お客さんの「数」が少なければ、商売はとても難しくなります 。
2. 年齢層(あなたのメニューと合っているか?)
さっきの「スイーツ」の例です。 その場所に住んでいる人の「年齢(ねんれい)」を見ます。 「若者」が多い場所なら、スイーツは売れるかもしれません。 「高齢者」が多い場所なら、「和菓子(わがし)」のほうが売れるかもしれません。
3. 所得層(その値段で買ってくれるか?)
その場所の人たちが、どれくらい「お金を持っているか(所得)」も大切です。 もし、「1,500円の高級(こうきゅう)ローストビーフ丼」を売りたいなら、 「500円でお昼をすませたい」学生街(がくせいが い)ではなく、 「お昼には1,500円くらい出せる」ビジネスマンが多いオフィス街(がい) を選ぶべきです。
4. 生活スタイル(どんな時間に、何を求めているか?)
その場所の人たちが、どんな「生活」をしているか想像します。
- オフィス街:平日の「お昼」。お客さんは「急いでいる」。「早い、うまい、安い」お弁当が欲しいかも。
- 住宅街:平日の「夕方」や「土日」。「晩ごはんのおかず」や「家族で食べるおやつ」が欲しいかも。
- 大学の近く:「お昼」や「おやつ」。「安くて、お腹いっぱいになる」ボリュームのあるものが欲しいかも。
このように、場所と時間によって、お客さんが「欲しいもの」はまったくちがうのです。
リサーチはどうやる?かんたんな始め方
「そんな数字、どこで調べるの?」 一番かんたんなのは、その市役所(しやくしょ)や町のホームページを見ることです。
「〇〇市 人口 統計」のようにインターネットで調べると、「市の人口」や「何歳の人がどれくらいいるか」といったデータが、だれでも無料で見られるようになっています 。
そして、最後は「自分の目で見る」こと。 あなたが出店したい場所に行って、平日の朝、お昼、夕方、そして土日…と、 「どんな人が、どれくらい歩いているか?」 「ライバルのお店はもうかっているか?」 を、自分の目でたしかめるのです。これが一番のリサーチです。
まとめ:「人」がいるから「商売」になる
「何を売るか」を決めたら、次は「誰に売るか」を決めます。 そして、その「誰か」がたくさんいる「どこで売るか」を探すのです。
「こだわり」も「場所」も、すべては「お客さん」からスタートします。 東京や大阪のような都会(とかい)で、めずらしいお店がやっていけるのは、それだけ「人がたくさん集まる」から 。 あなたの商品を「欲しい!」と思ってくれるお客さんを見つけること。 それこそが、儲かるキッチンカーへの、いちばん確実(かくじつ)な地図になります。
その「場所」とあなたの「商品」、本当に合っていますか?
「リサーチが大事なのはわかった」 「でも、この統計データから、何を読み取ればいいの?」 「私のお店にピッタリの『儲かる場所』、だれか教えて!」
そうですよね。「数字」を見るのは、とてもめんどうで、難しい作業です。 でも、このリサーチを「なんとなく」ですませてしまうと、あなたの情熱は「だれにも届かない」場所で空回りしてしまいます。
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