プロが実践する「キッチンカー仕込み術」:ポーション化・ソース化で秒速オペレーション

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前回の記事で、私たちは「儲かる」キッチンカーの営業中とは、「調理」をする時間ではなく、「仕込み品を組み立てる(アセンブリ)」時間である、という「経営戦略」について学びました。

この戦略のゴールは、「営業中の『包丁』と『計量』をゼロにする」ことです。 なぜなら、キッチンカーという極小空間において、「切る」「重さをはかる」という作業こそが、オペレーションを遅らせ、品質を不安定にさせる「最大の敵」だからです。

「仕込み」とは、この「敵」を、営業が始まる「前」にすべて倒しておく「技術」の総称です。 この記事では、あなたの「営業中の作業」をゼロにし、「秒速オペレーション」と「完璧な品質管理」を両立させる、プロの具体的な「仕込み術」を徹底解説します。

ポーション化:営業中の「迷い」と「ロス」をゼロにする技術

「ポーション(Portion)」とは、「一人前の分量」という意味です。 そして「ポーション化」とは、あらかじめ、すべての食材を「1食分」のカタマリに小分けして準備しておく技術です。

これが「仕込み術」の基本であり、最強の武器です。

なぜ「ポーション化」が最強なのか?

もし、あなたが「ポーション化」をせずに、営業中に「大きな肉のカタマリ」や「大きな野菜の袋」から、その都度「感覚」で一人前を取り分けていたら、どうなるでしょう?

  • 失敗1:時間のロス 「一人前って、だいたいこのくらいかな?」と「迷う」時間が、1食あたり「3秒」発生します。
  • 失敗2:品質のブレ 忙しい時は「少なく」なり、ヒマな時は「多く」なる。お客さんによって「量が違う」という、最悪の「品質低下」が起こります。
  • 失敗3:原価のブレ 「多く」盛り付けた分は、すべてあなたの「利益」から差し引かれる「赤字」です。あなたは「感覚」で、利益を捨てているのです。

「ポーション化」とは、営業「前」の「安い時間」に「計量」をすべて終わらせることで、営業「中」の「高い時間」に、この3つの「失敗」が絶対に起こらない仕組みを作ることです。

プロが実践する「ポーション化」の具体例

  • 例1:唐揚げ屋
    • 営業前に、鶏肉をすべて「カット」し、「1食分(例:120g)」ずつ、計量して小さなビニール袋やバットに分けて積み重ねておく。
    • 注文が入ったら、スタッフは「迷わず」に「1袋」を取り、粉をつけてフライヤーに入れるだけ。
  • 例2:タコライス屋
    • 「レタス(30g)」「チーズ(15g)」「トマト(20g)」を、すべて1食分ずつカップや袋に分けておく。
    • 注文が入ったら、ご飯の上に、仕込んだポーションを「順番に乗せる」だけ。包丁も計量器もいりません。
  • 例3:クレープ屋
    • 「バナナ(1/2本)」「イチゴ(3個)」など、トッピングをすべて「1食分」にカットし、専用の容器に並べておく。
    • 「迷う」作業が消え、「組み立てる」作業だけが残ります。

「ポーション化」が「動線設計」を完成させる

前の記事で学んだ「L字型コックピット」は、この「ポーション化」とセットで初めて「最強」になります。

設計の段階で、「どこに、どのポーション(1食分の仕込み品)を置くか」という「定位置」を決めます。 そして、作業者は「ゴールデンゾーン(目線から腰までの、一番取りやすい高さ)」に配置された「ポーション」を、「歩行ゼロ」かつ「迷いゼロ」で、ただ掴んで、組み立てていくだけ。

これが、「建築(動線)」と「技術(仕込み)」が融合した、プロの「秒速オペレーション」です。

ソース化(ボトル化):営業中の「味付け(計量)」をゼロにする技術

「ポーション化」が「食材(モノ)」の管理術なら、「ソース化(ボトル化)」は、「味付け(調味料)」の管理術です。

営業中に「塩を少々、コショウをふたつまみ、醤油を小さじ1…」 こんな「感覚」に頼った「計量」をしている店は、プロ失格です。 なぜなら、それは「品質」がブレる「最悪の調理法」だからです。

「味」は、ボトルの中で「完成」させておけ

「ソース化(ボトル化)」とは、営業中に使う「すべての味付け」を、あらかじめ営業「前」に「完璧なバランス」で混ぜ合わせ、「ソースボトル」や「容器」に入れておく技術です。

  • 例1:天丼屋
    • 営業中に「醤油」「みりん」「砂糖」を混ぜてはいけません。
    • 営業前に、完璧な比率で「天丼のタレ」を寸胴で作っておき、保温ポットやボトルに入れておく。
    • 営業中の作業は、そのボトルから「かけるだけ」。
  • 例2:パスタ屋
    • 注文ごとに「ペペロンチーノ」の味付けをしてはいけません。
    • 営業前に「ニンニク」「鷹の爪」「オリーブオイル」を火にかけ、「ペペロンチーノの『素』」を大量に仕込んでおく。
    • 注文が入ったら、「麺」「ゆで汁」、そしてその「素(お玉1杯)」をフライパンであえるだけ。
  • 例3:唐揚げ屋
    • 「塩コショウ」や「特製スパイス」も、あらかじめ「最高の比率」で混ぜておき、「専用のスパイスボトル」を作っておく。
    • 営業中は、そのボトルを「3回ふる」と決めるだけ。

「ソース化」が「ブランド」を作る

この技術の最大のメリットは、前の記事(第30回)でも触れた、「品質の絶対的な安定化」です。 新人スタッフのAさんが作っても、ベテランのBさんが作っても、「ボトル」さえ間違えなければ、100%「同じ味」が、お客さんに提供されます。

「いつ食べても、絶対に裏切らない『あの味』」 これこそが「ブランド」の正体であり、その「味の心臓部」は、営業前に仕込まれた「ソースボトル」の中にあるのです。

下味冷凍・真空調理:仕込みの「時間」と「品質」をハックする

「ポーション化」と「ソース化」は、伝統的な仕込み術です。 現代のプロは、ここに「テクノロジー(技術)」を持ち込み、仕込みの「効率」と「品質」を、さらに上のレベルに引き上げています。 それが、「下味冷凍」や「真空調理」です。

なぜ「生の肉」を車に積むのか?

多くのキッチンカーは、「生の鶏肉」を冷蔵庫に積み、営業中に粉をつけて揚げています。 しかし、プロの視点から見れば、これは「ムダ」と「リスク」だらけです。

  • ムダ:営業中の「高い時間」に、「粉をつける」という「作業」が発生している。
  • リスク:「生の肉」は「食中毒」のリスクが最も高い。
  • 品質:注文が入ってから味付けしても、肉の中まで味が染みていない。

この「ムダ」「リスク」「品質」の3つを、同時に解決する魔法が「下味冷凍」です。

「下味冷凍」という名の、最強の仕込み術

これは、営業「前」、あるいは「数日前」に、 「ポーション化した肉」と「ソース化したタレ」を、 一緒に「ジップロックや真空パック」に入れて、 「味付けした状態」で「冷凍」する技術です。

この「仕込み」が、どれだけ凄いか分かりますか?

  • メリット1:仕込み時間の超短縮
    • 「肉を切る日」「タレを作る日」を、営業日とは「別の日」に設定できます。
    • 営業当日の「仕込み」は、この「冷凍パック」を冷蔵庫に移して「解凍する」だけです。
  • メリット2:品質の劇的向上
    • 冷凍するプロセスで、味がグングン肉の中まで染み込みます。
    • 営業中に「あわてて味付けした肉」とは、比較にならないほど「美味しい」商品が完成します。
  • メリット3:秒速オペレーションの実現
    • 営業中、あなたは「解凍されたパック」から「味が染み込んだ肉(ポーション)」を取り出し、粉をつけて「揚げるだけ」です。
    • 「味付け」という「計量」作業が、完全にゼロになります。
  • メリット4:ロスの撲滅
    • 「冷凍」してあるため、食材が「いたむ」というロスが、ほぼ発生しません。

「真空調理(低温調理)」への進化

さらに上級者になると、「真空パック」と「低温調理器」を使います。

「ローストビーフ丼」や「チャーシュー」を、営業中に「火が通るか」と心配しながら作るのは、素人です。 プロは、営業「前」に、真空パックした肉を「低温調理器」にかけ、「完璧な火加減」で、中まで「調理済み」の状態にしておきます。 (※これは天丼屋の事例の考え方と同じです)

営業中の作業は、 「その『調理済みの肉』の表面を、営業中にサッと炙るだけ

営業中の作業は、これだけです。 「火が通ったか」という、食中毒のリスクと、時間がかかる作業を、すべて営業「前」に終わらせる。これが、現代のプロが実践する「仕込み術」の最前線です。

まとめ:「技術」が「戦略」を「現実」にする

「仕込み」とは、単なる「根性」や「手際の良さ」ではありません。 それは、

  1. ポーション化:食材を「1食分」に分け、「迷い」と「原価ブレ」をゼロにする「管理技術」。
  2. ソース化:味付けを「ボトル」に詰め、「品質」を100%安定させる「化学技術」。
  3. 下味冷凍/真空調理:「時間」と「品質」をハックし、営業中の「調理」をゼロにする「科学技術」。

これらの「技術」が、前の記事で学んだ「秒速オペレーション(動線)」と組み合わさって、初めてあなたの「儲かる」キッチンカーは完成します。 次の記事では、これらの「仕込み品」を、ミスなく、ムダなく使い切るための「管理術」について解説します。

その「仕込み」、まだ「感覚」と「根性」でやっていませんか?

「『ポーション化』や『ソース化』、ここまで徹底するのか…」 「『下味冷凍』で、仕込み時間も品質も上がるなんて、知らなかった」 「自分の『仕込み』が、いかに『非効率』で『ムラだらけ』だったか分かった」

そう、「仕込み」とは「技術」です。 「感覚」や「根性」で乗り切ろうとすれば、必ず「品質のブレ」と「オペレーションの遅延」を生み、あなたの利益を圧迫します。

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