これまでの記事で、「損益分岐点」や「限界利益率」など、赤字にならないための「経営の数字」について解説してきました。
「理屈はわかった。でも、実際のお店では、どうやって計算するの?」 「『こだわり』と『利益』を両立させる『値段』って、いくらにすればいい?」
その疑問に答えるため、ここからは「具体的なケーススタディ(事例研究)」に入ります。 資料にある「天丼屋」を例に、儲かるキッチンカーの「原価計算」と「価格設定」のリアルなシミュレーションを見ていきましょう。
【ケーススタディ】ビジネス街で「天丼屋」をやる
- 場所:お昼休みのビジネス街
- 商品:天丼(1杯)
あなたがこの天丼屋のオーナーなら、「値段」をいくらにしますか? そして、その値段で、どれくらい「儲け(利益)」が出るのでしょうか?
儲かる「原価率」の黄金ルール:35%の壁
値段を決める前に、飲食業界の「黄金ルール」を一つだけ知っておく必要があります。 それは、「原価率は、35%以下におさえる」というルールです 。
- 原価とは?
- 商品を1個作るのにかかった、材料費や容器代のこと。
- これは、経営の数字でいう「変動費」のことです。
- 原価率とは?
- 「売上(売値)」のうち、何%が「原価(変動費)」なのか、という割合です。
もし、原価率が「35%」なら、 1,000円で売った商品のうち、350円が原価(変動費)で、のこりの650円が「儲け(限界利益)」になります。
もし、原価率が「50%」なら、 1,000円で売っても、500円が原価で、「儲け」は500円しかありません。
(※前の記事で学んだ「限界利益率」は、じつは「100% - 原価率」のことなのです。 原価率35% = 限界利益率65% = 儲けパワーが「つよい」 原価率50% = 限界利益率50% = 儲けパワーが「よわい」)
「原価率35%の壁」は、あなたのお店が「儲けパワーのつよいお店」になれるかどうかの、大切な目安なのです。
天丼1杯の「原価」は、いくら?
では、天丼1杯の「原価(変動費)」を計算してみましょう。 資料の例では、このようになっています 。
- えび、野菜、お米などの「材料費」
- タレの費用
- お客さんに渡す「容器」や「わりばし」代
- これらすべてを合計すると…
- 天丼1杯の原価:およそ270円
これが、あなたが天丼を1杯作るたびに、かならず出ていくお金(変動費)です。
儲かる「売値」は、いくらにすべきか?
原価が「270円」と分かりました。 では、これをいくらで売れば、「黄金ルール(原価率35%以下)」を守れるでしょうか?
もし「500円」で売ったら?(失敗例)
「ワンコインなら、お客さんが喜ぶかも!」と、500円で売ったとします。
- 原価率 = 270円(原価) ÷ 500円(売値) = 0.54
- 原価率54%!
これは、黄金ルールの「35%」を、はるかに超えています。 儲けパワー(限界利益率)は46%しかなく、これでは「赤字」になりやすい、すごく「よわい」お店になってしまいます。
もし「1,000円」で売ったら?(成功例)
では、思い切って「1,000円」で売ったらどうでしょう? (※天丼の世間の相場は、約1,013円というデータもあります)
- 原価率 = 270円(原価) ÷ 1,000円(売値) = 0.27
- 原価率27%!
すばらしい数字です! 黄金ルールの「35%」を、余裕でクリアしました。 これなら、儲けパワー(限界利益率)は「73%」もあり、非常に「つよい」お店になれます。
1,000円で売ると、儲け(限界利益)はいくら?
「原価率27%」で、売値が1,000円。 つまり、あなたの「1杯あたりの儲け(限界利益)」は、
1,000円(売値) - 270円(原価) = 730円(1杯の儲け)
となります。 あなたが天丼を1杯売るたびに、「730円」が、あなたの手元に入ってくる(固定費を払う前の儲けとして)のです。
まとめ:「原価計算」が、あなたの「利益」を決める
「なんとなく」で値段を決めてはいけません。 「こだわり」と「情熱」だけで値段を決めてもいけません。
- 「原価(変動費)」を、1円単位で計算する
- 「原価率35%以下」の黄金ルールを守れる「売値」を決める
- その「売値」でも、お客さんが「安い!食べたい!」と思う「価値」を、ちゃんとアピールする
この3つがそろって、初めてあなたのキッチンカーは「儲かるお店」になれます。 「原価計算」こそが、あなたの「利益」をデザインする、最強の武器なのです。
その「値段」、なんとなくで決めていませんか?
「『原価率35%』、守れてなかった…」 「ウチのお店の『本当の原価』って、いくらなんだろう?」 「この『売値』で、本当に『儲け』が出ているか、計算してほしい!」
「原価計算」と「価格設定」は、経営(けいえい)の心臓(しんぞう)です。 ここを「どんぶり勘定」にしていると、あなたが汗(あせ)水(みず)たらして働いた「儲け」は、知らず知らずのうちに消えていきます。
あなたの「こだわりメニュー」の「本当の原価」はいくらか。 「いくらで売れば」、黄金ルールを守れるのか。 私たちプロと一緒に、「儲かる価格(かかく)」を計算し直(なお)しませんか?
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